高齢者マンションに手すりをつける

巾手すり・手つかみ・手支え

高齢者マンションでも手すりは歩く、しゃがむ、立ちあがる、段を上がるといった日常の行動を大いに助けてくれるものです。手すり一本がどれだけその行動を楽にするか、使用状況を観察していますと、よくわかります。しかし実際はこの名前が示す「手すり」という使い方より「手つかみ」とか「于支え」といった使い方のほうがずっと多いのです(図1-14)。つたい歩きや立ち上がり時にはこれにつかまり力まかせにするのを見てもそことこは分かると思います。高齢者マンションには必要なところには必ず手すりが設けられています。

人間は二本の足で立ち、歩行します。しかし先にのべましたように、体の働きが低下しますと、歩行のさい、片方の足を上げるとわずかな時間でもバランスをくずしやすいので、上げた足の代わりの支えの役目を手で行います。さらに足が弱ってくるとか、腰がまがってくると前かがみの姿勢となり、体の重心が前寄りになります。場合によっては重心が体外に出てしまいますので前にのめり、手をのばして手すりをつかんで、体を引きよせるような使い方になります。つまり腕と二本の足が三脚となって安定性を保ちます。

手すりにかぎらず、お年寄りのいる家で、ある時期からテーブルやげた箱の角やソファーの背の一定個所が黒ずんできたら、そこが移動経路の大事な手の中継点です。階段の手すりは上りはしっかりつかんで体を引きあげ、下りは万一足をすべらせた場合、とっさにつかみますので、握りやすくすべらないものであることが重要です。このようなデーターの積み上げが今日の高齢者マンションの仕様に役立っているといえるでしょう。

高齢者マンションの浴室やトイレなどで、しゃがんだり立ちあがったりする行為は、自分の体をかがめたり引きあげたりするため、しっかり握りしめる棒としての手すりが必要になってきます。このように、握るという行為に対しての「手すり」は、その名から想像するようなすべりやすいものより、逆にすべりにくく握りやすい形状や材質が必要になってきます。手ざわりが冷たくないこともたいせつです。居室には木製、浴室などの水まわりには樹脂被膜あるいは厚ぬり塗装品がよいでしょう。高齢者マンションは沢山ありなすが、いずれもこのような高齢者の目線で使い勝手の良い安全なものを使用しています。また高齢者マンションでは仕様の規格を建設の基準の中にもりこまれている場合もあり、高齢者を法律でも守っていく社会の仕組みを目指しているようです。